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木造平屋建ての小学校は訪問者の心のふるさと(埼玉県小川町)

晴天、満開の桜が咲く下里分校に「MOZART」(モザート)というカフェが4月1日オープンしました。かつての用務員室をリノベーションしました。第4回「さくら祭り」いう年に1回のイベントに合せ、竣工式が行われ、沢山の人がお祝いしました。町長らによるご挨拶によれば、地方創生の予算で「地域資源PR樹拠点」として整備されたそうです。この地区は有機農業の里としても有名で、交流人口や移住者を増やす拠点にしていくのだと言います。運営は地元のNPO法人霜里学校が担います。NPO法人の名称は明治時代この地域に実際あった学校名を由来としています。

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第4回さくら祭りには3,500人ほどの来場がありました。分校の最後の卒業生の世代が25歳くらいなので、その子供や両親など三世代のグループが目立ちます。満開の桜の咲く校庭には有機農産物のファンの人、地元の住民など、ほんとに沢山の人たちが集い、お花見や再会を楽しんでいました。

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校庭には隣接する霜里農場(有機野菜)、町の中心部にあるマイクロブルワリー(地ビール)など有機農産物関連をはじめ、餃子や焼き鳥、うどんなど飲食店が18店出店。校舎内にも手工芸品やユネスコ文化遺産に認定されている和紙の体験などが行われていました。

この分校は国内でも早い時期(明治5年)に設置された小学校の一つである小川小学校の分校として下里地区に1901(明治34)年に開校され、1964年(昭和39年)に現校舎が新築、その後2003年に休校、2011年3月に廃校となりました。

分校の魅力は、木造の懐かしい雰囲気にもあります。アニメ「のんのんびより」の舞台のモデルと言われていてアニメファンの来訪も多くあります。映画「春なれや」のロケも行われました。また里山の景色が美しいことからサイクリストやハイカーなども通年多く立ち寄っています。私もそんな下里に魅せられている一人でした。

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2012年に、分校をいずれは地元で管理運営していきたい、そのために交流人口や下里のファンづくりをしようとワークショップが何回か開かれました。そこから生まれた取り組みが「有機野菜塾」という月1回の塾と、貸し菜園「桜ファーム」でした。その運営をするためにNPO霜里学校が、次の時代を担う30代、40代を中心に設立されたのです。2014年からは分校の管理をNPOが担うようになりました。

私も有機野菜塾の1期生として、また「桜ファーム」を一角お借りして、有機栽培でのやさい作りを始めました。自宅は世田谷なので車で片道90分はかかります。せいぜい月に2回しか通えませんが、6年目の今年も野菜づくりは続けています。有機野菜塾も桜ファームも継続され、下里のファンが着実に増えています。

2015年4月5日には第1回さくら祭りが開かれ、校舎も公開され(通常は校舎内には立ち入れない)ました。校舎内の廊下には小学校として使用されていた頃の写真が常設展示されています。さくら祭りに訪れた卒業生やその父母らはそれらの写真を懐かしく眺めながら昔話に花を咲かせていました。閉校になった学校は地域の歴史を後世につないでいく重要な拠点であると改めて思いました。もちろんアニメファンの方たちも沢山来ていました。運営はボランティアグループが手伝ってくれました。

第1回さくら祭りでは、NPO代表で分校の卒業生である安藤和広さんはこう語っていました。
「分校に通っていた当時の思い出といえば、校舎の中や校庭で楽しく遊んでいた記憶しかありません。自分の中ではいつまで経っても楽しかった分校ですが、今では地域に子どもの姿を見ることは少なくなってしまいました。里山が"人=里と、自然=山の共生"で成り立つものであるように、校舎もそこに人が集まってこそ価値があります。分校は訪れる人全員の心のふるさととなれる場所です。地域の人達、都市住民、子どもたち...再び多くの人の楽しむ声が響く場所となるべく活動を続けていきます。」

あれから3年、その活動は町や県の注目を集め、同NPOでは移住促進業務も担うようになりました。昨年1年間で2地域居住も含め21世帯の移住があったといいます。本日フリーペーパーの『小川そだち×小川ぐらし』も初お目見え。

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都心部から50kmと通勤圏ではありますが、埼玉県の中では"消滅可能性"が2番目に高いと指摘された小川町。30代、40代を中心に、また有機の里、美しい里山の暮らしに憧れるシニア層の熱い視線を集め、すでに多くの人の心のふるさとになっているのではないでしょうか。

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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