日本の食文化を味わおう SAVOR JAPAN

3月21日~22日、福井県小浜市で「SAVOR JAPAN全国ネットワーク会議」とエクスカーションが開催されました。

「SAVOR JAPAN」とは、日本全国の農山漁村から、地域ならではの豊かな食文化を有する魅力的な農山漁村を選定し、海外に発信していこうという制度です。農林水産省が2016年度から設けたもので、厳正な審査により、2017年12月現在、15の地域を農林水産大臣が認定しています。
「海外における日本食・食文化に対する関心は、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録、ミラノ国際博覧会等を通じて近年大きく高まっており、日本を訪れて「本場の日本食」を体験したいという外国人のニーズも高まって」いるそうです。

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初年度は「食と農の景勝地」という名称でしたが、地域の食文化に関心を持つ外国人旅行者の増加に対応し、2年目から「農泊・食文化海外発信SAVOR JAPAN」に変わりました。特に外国の方に日本のオーセンティックな食文化を体験し、交流や体験を通じ日本の食を深く知っていただくことを目指しています。
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/keisyoti_kentokai/

初年度に選ばれている5地域には、北海道の十勝や、徳島県にし阿波地域などがあります。外国人を意識して、英語の動画や取材記事が掲載されています。
https://savorjp.com/en/

会議では事務局を担っているJTB総研の方から「JTBでは『る・る・ぶ』という雑誌を出しています。当初は"見る・食べる・遊ぶ"を重視してきましたが、近年は旅の目的が変わってきました。最近は"体験する・交流する・学ぶ"を読み替えて編集を進めています」とお話がありました。

私も宮崎県の世界農業遺産 高千穂郷・椎葉山地域で「農泊推進対策」という農林水産省の事業のアドバイザーとして関わっていますが、なるほど今年度実施したツアーのいずれも、その3要素を柱にしていました。この高千穂郷・椎葉山地域も「SAVOR JAPAN」に2年目に選ばれました。九州ではまだここだけです。他の地域は浜松のうなぎとか、讃岐のうどんなど、地名を聞くとそこの名物料理が思い浮かぶ地域も多いのですが、そのような代名詞的な料理は高千穂郷・椎葉山地域にはありません。

そこで注目したのが地域内の各地で伝承される神楽で振るまわれる伝統料理や、焼畑で作る蕎麦など雑穀を素材としたお料理でした。"神楽料理""焼畑料理"と名付け、SAVOR JAPANに認定されたのです。山間地の暮らしで育まれた継承されてきた豊かな食文化。世界農業遺産(GIAHS)認定地域であり、郷土食と森林セラピー、暮らし・文化 体験などをプログラム化した「ジアスツーリズム」を推進しています。

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なお、会議開催地である福井県小浜市は2000年から「食のまちづくり」を開始し、翌2001年「食のまちづくり条例」を制定するなど、熱心に取り組んでこられました。古代より豊富な海産物で朝廷の食文化を支えた「御食 国(みけつくに)」としての歴史があります。また、若狭湾の幸は京都に運ばれていったそうで、特に当時は鯖が多かったことから"鯖街道(さばかいどう)"と呼ばれるようになりました。

現在、鯖の漁獲量は減ってしまっているのですが、鯖を糠(ぬか)で漬け発酵させる"へしこ"や"なれずし"など鯖料理が今も郷土料理として数多く伝承されています。また、若狭塗箸に代表されるように日本一の箸の産地でもあります。何より立派な「食文化館」には驚きました。地元のみならず、和食文化に関する充実した展示や、各種体験を行うことができる施設になっています。

ちなみに体験としては、初日は若狭塗箸を削る(紙やすりでこすって柄を出す)体験をし、晩は漁家民宿で海の幸を堪能。翌日は "へしこ"の製造現場、鯖の養殖場、鯛の体験場を見学。鯖の漁獲量はかつての1/10以下に減ってしまったころから養殖にチャレンジ。湾内にいけすを設置し、3年目の今年は1万匹の出荷を目指しているそうです。鯛の食育体験場は、港にある釣り場で鯛を釣って、さばいて、焼いて食べる施設。地元の漁師さんたちが自分たちで小屋を建てたところから始まったそうです。今では立派な建物になっていますがが、全国から4,000人を超える沢山の子どもたちが教育旅行で来訪される人気の場所です。外国人も増えているそうです。

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会議の会場でへしこを使った手毬ずし、鯖のなれずし、鯖ずし、焼き鯖汁を試食しました。

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全国各地のSAVOR JAPAN地域、いずれもその風味や風景は風土から生まれることを感じた二日間でした。

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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

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