- 2017年8月のアーカイブ

世界農業遺産・椎葉村でつづく「焼畑」 (宮崎県椎葉村)

「焼畑」と聞くと、森を焼く環境破壊のイメージがありませんか?
椎葉の焼畑は、多様な作物を輪作栽培し、長期間の休耕期間を設ける循環型の農法で、古来から続けられ、手順や種が継承されている取り組みです。焼畑継承者である椎葉勝(しいば・まさる)さんの家では毎年毎年山を焼いてきました。毎年8月上旬、木材を伐採した跡地に火入れをし、ソバを蒔く。2年目はヒエやアワ、3年目小豆、4年目に大豆を、その後植樹を行い20~30年ほど休耕し、再び木材を伐採して焼畑を行うという仕組みになっています。若い森が維持されるのでCO2の吸収量も多い、むしろ環境保全型の取組と言えるでしょう。

昨年8月3日は、同地域が世界農業遺産に認定されて後の初めての火入れということもあり100人ほどが参加しました。村内の夜狩内(よかりうち)という地区でも認定を機に50年ぶりに焼畑が復活しました。
また、昨年度は「焼畑研究会」やシンポジウムの開催等を通じ、地元関係者の間では焼畑の後には広葉樹を植えて豊かな水源林を再生させていきたいと、森づくりへの関心が高まってきました。研究会では有識者や地元の長老などを講師に椎葉の焼畑について学び合い、併せて既存の文献等を調査し『椎葉の焼畑』という冊子や動画が制作されました。
※動画 https://www.youtube.com/watch?v=2pWOmr2cc3k


焼畑 火入れ
2017年8月3日。予定では9時から火入れが始まることになっていましたが、台風5号の接近で午後から雨が降ってくる予報でしたので早めに開始されました。私が現地に着いたときにはすでに火が入り始めていました。火入れ前に行う神事には立ち会うことができませんでした。

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火入前の神事

また、通常は火入れを行う場所の周囲に防火帯を作った後、火を上の方、周囲、下の方につけ、自然と中央部に燃え広がり、最後には自然と消えるのですが、今年は当日朝の小雨などもあり葉が湿っており、燃え広がることが無く、3割程度にとどまりました。

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人と人とのつながり
燃え残りが多いものの、午前で火入れを終えました。昼食前に参加者全員が自己紹介をします。隣村(熊本県水上村)のグループ(椎葉勝さんの指導を受け3年前から焼畑を実施)、地元住民や同地区ので焼き畑を継承するグループ「焼畑蕎麦苦楽部」のメンバー、宮崎大学教員、県庁・支所職員、周辺自治体や首都圏からの参加者など、総勢100人ほどが今年も参加しました。
 
「明日焼くヤボは今日焼け」という言い伝えがあるそうです。晴天が続き、さあ明日焼こうと思うと雨が降ることかままあることから、今日のうちに焼いてしまいなさい、という意味なんだそうです。勝さんは「3日に焼くことに決めて、こうやって多くの人が集まってきてくれる。天気も大事だが、人と人とのつながりも大切にしていきたい」と
  

昼食交流会そして直会(なおらい)
昼食はカレーや地元の新鮮野菜、漬物などを食べながら休憩・交流です。通常ですと午後からはソバの種をまくのですが、あいにくお昼の途中から雨が降ってきてしまい、午後の種まきは中止になりました。(その後、8日にソバの種まきが行われたそうです)そこで昼食後には引き続き直会が始まり、17時頃まで交流は続いたのでした。「ひえつき節」という椎葉発祥の民謡や、いくつかの歌が披露され、ショートスピーチなどもあり賑やかに楽しい時間は過ぎていきました。

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私は今年は首都圏から大人10人、子供4人で参加したのですが、同行された方たちには、何より地域の人たちとの交流が印象的だったようです。


焼畑蕎麦のコース料理
翌日の昼食には那須翔仁(なす・しょうじ)さんによる「焼畑蕎麦コース料理」をいただきました。
那須さんは、宮崎のお蕎麦屋さんで10年修行し、昨年春Uターン。昨年50年ぶりに焼畑を復活した夜狩内にお住いです。食を中心に地域づくりを担っていきたいと言います。夜狩内で栽培・収穫された蕎麦を使ってのお料理でした。ちなみに蕎麦の種は椎葉勝さんから譲り受けたものです。

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焼畑蕎麦料理。宮崎の郷土料理も


蕎麦好きが高じて蕎麦スイーツの製造・販売をされている小池ともこさん(そばの実カフェ「sora」)は椎葉の焼畑を見たくて、蕎麦が食べたくて東京からはるばる来訪されました。
那須さんの蕎麦を食べた感想は「香り深く、芳醇な香り、甘み、椎葉の山々の自然への感謝を感じながら頂きました」と。

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首都圏から参加された皆さんと椎葉勝さん


天候に左右される焼畑ですが、地域の人たちの思い、共感する人たちの思いが重なり、自然と共生する農法は今後も続いて行くでしょう
蕎麦は蒔かれて75日で収穫です。10月中旬には今年の新蕎麦が実ることでしょう。2年目のヒエ、3年目のアワなどもその頃が収穫の時期です。今年は焼畑雑穀の収穫にでかけてみたいと思います。

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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