2年目を迎える「広野わいわいプロジェクト」(福島県広野町)

今から4年ほど前。2012年1月12日、いわき市常磐広野町仮設住宅には広野町から町民が避難していました。その集会所で「太陽光パネルづくりワークショップ」が開催され、私も参加しました。そこで広野町から避難している根本賢仁さん(68)と出会いました。根本さんは自宅も田畑も津波で流された方でした。セルを一枚一枚はんだごてで接着し、太陽光パネルをつくりました。避難している広野町民、いわき市民、首都圏からのボランティアが一緒に作った太陽光パネルは、仮設住宅の街灯となりました。

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翌2013年の春、いわきのNPO法人ザ・ピープルが、広野町内の3反の綿畑で和綿の有機栽培を開始しました。ザ・ピープルでは前年からいわき市内を中心に綿の有機栽培を始めていました。広野町の畑の草刈り等を自主的に行っていたのはあの根本さんでした。


防災緑地に交流のしくみ

13年5月に東京のNPO法人JKSKが主催するボランティアバスに私も参加し、広野町の綿畑で、根本さんと再会しました。
「この近くに12ヘクタールの林ができるんです。防災緑地です。しかし、広野町は高齢者が多く、ぜひいわきや首都圏の皆さんにも植樹や森づくりに力を貸していただきたい」
そんな相談がありました。

広野町の沿岸に、幅50メートル、総延長約2キロメートルの防災緑地の建設が始まっていました。県の富岡土木事務所は造成と並行して、主に町民を対象にした「ひろの防災緑地サポーターズクラブ」を設置し、どこにどのような樹木を植えるか、どのように管理していくか話し合いを持つことになりました。


賑わい、なりわいを

広野町は町民の帰還が震災から6年目の今も2500人ほどで半数程度です。そして同じくらいの人数の作業員の人たちが住んでいます。廃炉作業や除染作業に従事する人たちです。子供や女性が安心して暮らせるような町の賑わい、防災緑地での植樹や育樹に住民が関わるしくみ、コミュニティを維持するための女性の仕事づくりなどが必要とされていました。

ボランティアバスでは畑で汗を流した後、地元の方たちと意見交換を重ねました。そして昨年春、広野町に賑わい・なりわいを創り出す「広野わいわいプロジェクト」(復興庁「新しい東北先導モデル事業」)が始まりました。いわきのNPO法人ザ・ピープルや、いわきおてんとSUN企業組合もパートナーとして参画しました。

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綿つむぎ、オリーブキャンドル

昨年一年間に、二ツ沼総合公園で3回ほど「ひろのパークフェス」というイベントが開催されました。回を追うごとに参加者も増え、2000人ほどが参加し、食べたり遊んだり家族やグループで楽しい一日を過ごせる場が実現しました。

商品開発ではスピンドルという綿を紡ぐオリジナル器具を作りました。広野町の復興のシンボルでもある桜の木、オリーブの剪定枝が使われています。これで広野の綿畑で収穫された綿から糸を紡ぐことができます。またオリーブキャンドルも誕生しました。広野町にはオリーブの栽培が広がりつつあり、その葉を粉にして練り込んでいます。形がオリーブの実に似ていて可愛いと人気です。地元の女性たちが手作りしています。

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そして防災緑地には「プレゼントツリー」という仕組みを導入しました。2000本の里親を募り、10年間交流するというものです。
今年3月6日に「プレゼントツリーinひろの」の植樹祭(第1回森の交流会)が開かれ、町長、町民、首都圏からのボランティア約130人が参加し、苗を植えました。
「用意した広葉樹の苗は2,000本。スダジイ、アカガシ、クヌギ、コナラ、エノキです。このたび完成した防災緑地に今日植える苗木が、長い時間をかけて里山となり、広野町とそこに住む皆さまを守るとともに、コミュニティ再生の場となることを祈ってやみません。」
開会式で主催者である環境リレーションズ研究所理事長の鈴木敦子さんのご挨拶です。

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人生のセカンドステージは社会貢献

この間、綿畑や植樹のボランティアに参加した首都圏メンバーのうち、シニアのグループでは2つのNPO団体が生まれました。一つは「立教セカンドステージ大学」の受講生らで、「NPO法人コットンドリームいわき」を立ち上げ、いわき市内での綿の栽培、都内で綿製品の販売を行い、ボランティアバスを自ら実施し、いわきや広野を再訪しています。もう一つは、板橋区の市民らで「NPO法人いた・エコ・ネット」を立ち上げました。区内で綿の栽培を行い、収穫できた綿の里帰りを行いました。人生のセカンドステージにある皆さんが、このように社会に貢献する活動を実践されるのは素敵なことですね。

そして、私が何より嬉しかったことは、4月26日に広野町民の団体が誕生したことです。根本さんを理事長に「特定非営利活動法人広野わいわいプロジェクト」が法人登記を済ませたと報告がありました。地域の主役は地域の人です。町民の皆さんが、復興の地域づくりを考え、主体的に行動する。その応援団、仲間がいわきや首都圏のNPOや企業、市民です。

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国内外の被災地交流。希望の灯りを届ける

今年も首都圏からのボランティアバスを3回、商品開発や「ひろのパークフェス」も開催していくそうです。さらに若い世代を巻き込んでいこうと、広野町の小中高校生に太陽光パネルづくりをしてもらい、そのパネルを同じ地震被災のあったネパールの子供たちに届けようという取り組みも行う計画です。ネパールの地震では倒壊した学校が5,000校、死者9,000名を超える被害がありました。いわきおてんとSUN企業組合ではネパールに「福島から届ける希望の灯り」プロジェクトとして、これまでに3校に手作り太陽光パネルを届けてきました。
自然エネルギーでつくった希望の灯りを小学校に届けるプロジェクト。気持ちが温かくなりますね。

団体名でもありプロジェクト名でもある「広野わいわいプロジェクト」は、広野町、いわき市、そして首都圏の市民らの交流が根幹となっています。震災から6年目を迎えた福島県の浜通り、「双葉八町村に春を呼ぶ!」広野町の町民の皆さんの復興の地域づくり活動をこれからも応援していきたいと思います。

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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

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