- 2014年12月のアーカイブ

南相馬で今女性たちが取り組んでいること。「のらとも農園」、冊子『福島県南相馬発 坪倉正治先生のよくわかる放射線教室』

福島県南相馬市にうかがうようになって3年が経ちました。その間、いくつもの力強い復興プロジェクトが市民グループの中から生まれ、育っていく様子を拝見することができました。闇が深かっただけに、もちろんまだまだ元に戻っているわけではありませんが、なんとか上を向いて、歩みを確かなものにするところまで回復してきたように感じています。そして、それらの取り組みは、色々なことを教えてくれました。

今回はその中から2つの取り組み「のらとも農園」と、冊子『福島県南相馬発 坪倉正治先生のよくわかる放射線教室』をご紹介します。


小高(おだか)区から避難している広畑裕子さんが、ご自身が入居する塚合第二仮設住宅と隣接する長沼仮設住宅の間にある3.5反ほどの遊体農地を、子供たちが走って遊べる広場と、野菜や花を作る農地に再生したいと、自らの思いを形にした「のらとも農園」は2013年6月に開園しました。小高区は2014年末の今も未だ日中しか立ち入れない地域です。
広畑さんが農園を開設しようと思い立ったのは2013年の春。女性二、三人でスコップで黙々と石を取り除く姿を見て、仮設住宅に入居している人たちが次々と手伝ってくれるようになり、6月には農園が完成しました。そこに自費でビニールハウスを建て、花の苗を作り始めました。すると、仮設住宅の住人はプロの農家が多く、あまりの不慣れさに出てきて指導してくれるようになり、立派な苗を作ることができるようになりました。「生徒1人、先生100人」と広畑さんは言います。素人の彼女が始めた農作業を「見てはいられない」と、プロの農家が指導してくれるわけです。


DSC05892 (640x360).jpg


そして、2014年も沢山の人が農園を訪れ交流が生まれました。地域に根差した生業をつくる、という当たり前のことが、ようやく形になっていきました。これがきっかけで家に帰って農業を再開する人も出てきたそうです。この農園は最初の一歩を踏み出してもらえれば目的は達成と、期限付きで始めたもので、あと1年2016年の春には終了する予定です。
私はことあるごとに、「南相馬に行く機会があったらぜひ「のらとも農園」に訪問すると良いですよ」と勧めています。私自身、定期的にのらとも農園を訪問したいと思う理由、それは、東日本大震災から3年10か月が経っても仮設住宅での暮らしや自宅に戻れないという現実にあること、そして何より、そのような逆境の時間を経て、「毎日家族と楽しく一緒に食事ができること、仕事があることに感謝する。」という広畑さんの言葉の意味を自問自答するためです。

DSC05897 (640x360).jpg


南相馬に住んでいる人たち、特にお母さんたちの悩みが深かった(今も続いていますが)ことが放射能の問題です。そんな中、「ベテランママの会」を主宰する番場さち子さんは、震災直後から東京大学医科学研究所から南相馬市立総合病院に非常勤で毎週支援に来ていた坪倉正治先生による「正しい放射能のお話し会」を開いてきました。東京や名古屋でも開催し、すでに80回以上、3,000人ほどが参加しました。私も東京で開催された会に参加したことがあります。
それでも中々正しい情報は伝わらず、番場さんが経営する塾に通う女子中高生からも「私、結婚できますか?」「お母さんになれるのでしょうか?」というような相談が後を絶たないそうです。そこで、勉強会の内容を冊子にまとめて配ろうと『福島県南相馬発 坪倉正治先生のよくわかる放射線教室』を寄付を募って制作しました。2014年8月に完成した2万冊は3週間で全て羽ばたいていってしまいました。すぐに増刷し、11月には英語版も完成しました。


坪倉先生のよくわかる放射線教室_1014_ページ_01.jpg


いずれも50代の女性の取り組みですが、原発事故の被害が続く南相馬での暮らしで直面する課題を解決するためのイノベーションがそこにはあると思います。遊休農地と仮設住宅に入居するシニアや農業者のスキルやノウハウを活かし、なりわいと賑わいを創出する「のらとも農園」。そして、放射線について学び、放射能と共に暮らしてきた南相馬の女性だからこそまとめることができた情報冊子、これから原発事故が起きるかも知れない日本各地の女性たちへの情報の共有です。

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
April 2015
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

最新のエントリー
3地域が認定に向けて挑戦中!「世界農業遺産」 - 2015.04.15
南相馬で今女性たちが取り組んでいること。「のらとも農園」、冊子『福島県南相馬発 坪倉正治先生のよくわかる放射線教室』 - 2014.12.27
消滅可能性地域に活路を開く『東北食べる通信』。全国に増殖中! - 2014.08.03
4年目を迎えた震災復興プロジェクト - 2014.04.08
地元産の大豆にこだわる とうふ工房わたなべ (埼玉県都幾川町) - 2014.02.28
オーガニックハーブで美しい村づくり(長野県池田町) - 2013.09.10
JKSKボラバス。「いわきコミュニティ電力」竣工式 & 2年目を迎えたオーガニックコットン栽培 (5/25) - 2013.05.27
東日本大震災から3年目だからこそ始められること - 2013.03.17
いわきの未来づくり 「市民による市民のためのフォーラム・いわき明日のこと」 - 2012.09.30
「なんと里山元気塾」コミュニティをデザインする人の出会いの場 (富山県南砺市) - 2012.06.30
月別エントリー
2015年4月 (1)
2014年12月 (1)
2014年8月 (1)
2014年4月 (1)
2014年2月 (1)
2013年9月 (1)
2013年5月 (1)
2013年3月 (1)
2012年9月 (1)
2012年6月 (1)
2012年3月 (1)
2012年1月 (1)
2011年10月 (1)
2011年8月 (2)
2011年5月 (1)
2011年4月 (1)
2011年3月 (1)
2011年1月 (1)
2010年11月 (1)
2010年9月 (1)
2010年7月 (1)
2010年6月 (1)
2010年4月 (1)
2010年3月 (1)
2010年2月 (1)
2010年1月 (1)
2009年12月 (1)
2009年11月 (1)
2009年10月 (1)
2009年9月 (1)
2009年8月 (1)
2009年7月 (1)
2009年6月 (1)
2009年5月 (1)
2009年4月 (2)
2009年3月 (2)