- 2014年8月のアーカイブ

消滅可能性地域に活路を開く『東北食べる通信』。全国に増殖中!

『東北食べる通信』という食べ物付き情報誌をご存じでしょうか。http://taberu.me/tohoku/
2013年7月に創刊されたタブロイド判の月刊誌で毎月東北の農産物や海産物が一つクローズアップされ、現物が届きます。送料込みで1,980円です。

kaki.jpg

例えば2014年7月号は岩手県の山田湾で取れる貝。漁師たちには黒いダイヤと呼ばれる「シュリ貝」が付いてきました。ムール貝より硬い、しっかりした味わいの貝でした。白ワインで蒸していただきました。

シュリ貝料理.JPG

5月号は岩手県西和賀のワラビ、7月号は青森シャモロックという具合です。
特徴的なのは毎号生産者をクローズアップしていること、SNSをフル活用していること(フェイスブックに読者のページがある)、都内や産地で生産者を招いた交流会があることなどです。

編集長を務めるのは40歳の高橋博之さん。岩手県花巻市生まれで、東京の大学に進学し、30歳で帰郷、2006年の岩手県議選で初当選。地方議員になりました。トップ当選で県議を2期務めましたが、県知事選で敗れ、38歳で政界を引退されました。高橋さんは東北の復興のためには、なりわいの活性化、生産者と消費者をダイレクトに結ぶしくみが必要だと考えました。そこでNPO法人東北開墾を設立し、東北の生産者の情報を都市部の消費者に届ける『東北食べる通信』(読者の間では"食べ通"と呼ばれています)を発行することになったのです。その合言葉は「世なおしは、食なおし。都市と地方をかきまぜる」です。

シャケ.jpg
高橋博之さん(左)

2013年秋に高橋さんに出会ってすっかりファンになりました。その理由を挙げてみると、
① まず、情報誌のデザインがとても良い。デザインは重要です。
② 次に、生産者一人一人について熱く語る、まさに選挙で候補者を応援演説するがごとくです。高橋さんのその演説の熱っぽさが良い。

魅力的な珍しい農産物・海産物が新鮮な状態で届く
シュリ貝といい、青森シャモロックといい、初めて知るものも多く珍しさがあります。しかも情報誌にレシピが載っているので安心して調理できます。3月号では宮城県南三陸町から生のワカメが一本丸ごと送られてきたのには驚きました。1メートルくらいはあるワカメです。根元(めかぶ)、クキ、いわゆるワカメの部分と、それぞれに食べ方が違う、食感も違う。それを家族や友人とワイワイ言いながら調理する楽しみも格別です。

生産者、編集長、スタッフと交流する機会がある
県議時代も300回車座と称し、全市町村を訪ね歩き、有権者と車座になって語り合ったそうですが、同様に読者や各地で発行したいと思う人と直接会って話をする機会を作っています。彼の熱が生産者、読者、発行希望者などにどんどん伝播していきます。

サステナブルな未来がここから始まっている予感がする
消費者と生産者が直接つながる。しかし、それは私作る人、私買う人という関係ではなく、共に復興地や地方の課題を共有し、その解決方法と共に考え、語り合い、新しい未来を一緒に創っていく感覚です。


全国各地でご当地食べる通信が

先日都内で創刊から1年、事業報告会が開催され参加してきました。NPO法人の総会ではなく、読者やスタッフ、生産者が一堂に会する機会です。報告によると、1年経って、購読者数は1,300人を超えました。そして、各地で同じような『食べる通信』を発行したいという声があがっていると。すでに今年5月には四国食べる通信、8月には東松島食べる通信が創刊されました。この他、現在、北海道、八戸・北三陸、山形、会津、新潟、石川、富山、神奈川、静岡、伊勢志摩、長良川、広島、岡山、熊本、沖縄などの地域からも名乗りがあがっているそうです。
 
読者の上限は1,500人で、一度に同じものを届けるにはその数が上限だと言うのです。確かに工業製品ではありませんし、中山間地や小さな漁港ではどこも少量多品種です。また、一回届けた産地のものを再度特集しようとすると、東北は6県ですから一つの県は一年に二回しか取り上げられないし、産地に至っては何十年先にならないと紹介できない計算になります。
 
そこで、各地域版の『食べる通信』を発行するリーグ制を取ることにしたのです。フランチャイズ制ではありません。これまで1年かけて構築してきたしくみを他のご当地食べる通信に提供したいというのです。食べる通信はインターネットから会員登録をし、毎号の食材によって、会員ひとりひとりが希望する配送日や、注文内容をきちんと把握して、間違いのないよう生産物を用意しパッキングし、そして配送業者を手配するなどのサプライチェーンが構築され、運営されています。このオペレーションのしくみをシステム化して各地の発行希望者に提供しようというのです。そのためには資金が必要です。

ということで、クラウドファンディングを活用し資金集めが2週間にわたって行われました。500万円の目標に対し、見事に350人から5,201,033円を集めることができました。読者や生産者、そして応援者は締め切りの48時間前、24時間前、8時前と締め切りの時間まで達成できるかどうか、フェイスブックに随時アップされる最新情報をチェックし、情報をシェアし、はらはらドキドキしながら成りゆきを見守っていました。


すでに、日本では農家の47%が70歳以上で、50歳以下は12%です。漁家はさらに深刻です。60歳未満の漁業者は10万人以下です。
10年先、私たち都市住民の食べ物は誰が作ってくれるのでしょうか?海外からの輸入に頼りますか。それとも自分で作りますか?

都市部の食やエネルギーを支えてくれているのは地方の農山漁村です。そして生き生きとした農業や林業、漁業があるから、日本の美しい農山村の景観が、文化が継承されているのです。
食べる通信の輪が広がり、生産者や産地のことを思う都市部の生活者が増えていく、産地と消費地の住民が協力して持続可能な社会を創っていくことを願わずにはいられません。

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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