- 2013年9月のアーカイブ

オーガニックハーブで美しい村づくり(長野県池田町)

毎年2月にドイツのニュールンベルグメッセにて世界最大のオーガニック専門見本市「ビオファ」が開かれていますが、今年は日本を代表するオーガニック製品を集めた「ジャパンパビリオン」(独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)主催)が初出展しました。
「ビオファ」は今年で24回目を迎える有機認証されたオーガニック製品に特化した展示会で、世界86か国・地域から2,396社が出展。来場者数はドイツ、イタリア、オーストリアなど各国のバイヤーを中心に4万人を超えるほどです。

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「ジャパンパビリオン」の広さは約330㎡。味噌・清酒・茶など加工食品を始め、オーガニックコットン製品、スキンケアなど中小企業18社・3団体(1都2府15県、団体関連企業数と合せて全36社・団体)が参加し、欧州市場への足がかりをつかもう、あるいは拡大しようと熱心に商談やプレゼンテ―ションを行いました。
そこに参加された一社に、長野県池田町でジャーマンカモミールを栽培し、これを原料にした入浴剤などを製造・販売しているカミツレ研究所がありました。

私は最近ではお米や野菜だけでなく、綿や茅、葦など非食品系の農産物の栽培や活用にもかかわるようになってきていましたので、国内でまとまった面積での有機認証を取っているハーブの栽培には大きな興味を持ちました。
 
さっそく池田町やカモミールについて調べてみると、池田町は、明治初期より生糸の生産が行われ、大正初期には岡谷、須坂に次ぐ製糸の町として栄え、戦後の合併後は電気、機械を中心とした工業が発展したところでした。安曇野の一角を担い、県下でも有数の米どころとして、稲作を中心に農業も栄えてきましたが、25年ほど前からは付加価値の高い花卉やハーブの栽培も盛んに行われるようになり、「花とハーブの里、池田町」としてアピールするようになりました。人口は10,458人(2013年4月)で、高齢化率32.6%(県平均28.0%)です。雇用の場が少なく、若者の流出(15-24歳の人口減少率が10%を超えている)が進んでいます。

一方、北アルプスの雄大な山容を一望できる景観に恵まれた地であることから、県内、名古屋圏、東京圏から多くの観光客が訪れ、年間の交流人口は44万人ほどです。 「日本で最も美しい村連合」にも加盟しています。

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約2ヘクタールのカモミール畑が広がっているのは広津集落です。中山間地域で人口116人、高齢化率41.4%で、特に過疎高齢化が進んでいるエリアです。カミツレ研究所は25年前から同地区でジャーマンカモミールの栽培を始め、集落内に加工工場と大浴場のある宿泊施設を有しています。独自の特許製法で凝縮したカミツレエキスを用いた入浴剤を始めとするスキンケア商品は、都市部で需要が拡大しているそうです。今では6月上旬のカモミールの花が満開の頃は多くの観光客も訪れるようになりました。

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カモミール畑の近くにある七色オオカエデ。10月下旬が見頃

長野県の中山間地域といえば、鹿など獣害が心配されますが、カミツレは獣害に強いという特徴もあるそうです!これは各地で獣害に悩む中山間地域の皆さまにお知らせしたいですね。

同社社長を務める北條裕子さんは、カモミールの効果・効能に注目していると言います。乳がん治療に従事する医師や医療ジャーナリストが、カミツレエキス入浴剤による入浴が、アトピー患者の症状の改善や、ガン患者の放射線治療中のQOLを向上させ治療効果を高めるといった研究調査結果を昨年度発表し、医学界においても注目が高まっているそうです。医師と連携したアトピー患者(子ども)向けの滞在プログラムを2005年より毎年1回行い、今年からは乳がん患者さんを対象としたツアーも行うようになりました。

今年は、町や地元の農家などと協力して、農水省の「都市農村共生・対流事業」事業にも着手したところです。有機栽培のハーブ・薬草や農産物を活かし、美容と健康をハーブと食でアピールする『信州池田ハーバルヘルスツーリズム』を開発し、道の駅池田とカミツレの里を核とした町を周遊・滞在型のツーリズムを構築することが目標だそうです。

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また、同社では池田町以外にも国内でカモミールの契約栽培を行っています。例えば、昨年からは震災の被害を受けた岩手県野田村でも試験栽培を始め、順調に生育し、収穫されたそうです。獣害に強く、花も美しく、効果効能も高いカモミールの有機栽培に、大きな可能性を感じます。
最近では漢方薬の原料になる薬草類もそれなりの価格で製薬会社が購入してくれると聞きますし、まだまだ農山村、中山間地域には色々と活用できる植物がありそうですね。

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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