- 2011年8月のアーカイブ

農地の復興 その2 ふゆみずたんぼ復興プロジェクト(宮城県南三陸町)

続いて、その2。ふゆみずたんぼ復興プロジェクトです。

「ふゆみずたんぼ」で水田をよみがえらせる

農地のダメージは塩害だけではありません。セシウムなど放射性物質も心配です。
8/28の日本農業新聞に、日本有機農業研究会のシンポジウム(8/27開催)の報告の記事が掲載されています。それによると「放射性セシウムについて、作物に吸収させないためには腐葉土など腐植質の施用や土壌の団粒構造が有効である」と研究報告がなされたとあります。

津波被害を受けた農地の塩害を防ぎ、微生物がたくさんいる水田によみがえらせよう、という取り組みにチャレンジしているのは、「NPO法人田んぼ」(宮城県大崎市 代表 岩淵成紀さん)です。気仙沼、南三陸町などで、「ふゆみずたんぼ復元プロジェクト」による水田復興に取り組んでいます。
8月21日に、南三陸町入谷地区で取り組まれている活動に参加してきました。 

海から3.5km離れている、山間のエリアまで、川伝いに津波は到達しました。周囲の杉が茶色く枯れているのがその爪痕です。こんなところまで、船や車が流されてきたのです。その後、大きな漂流物は重機等で撤去されましたが、農地には小さな木の破片やガレキが沢山残っています。水田に戻すには、この小さなガレキを取り除く必要がありますが、人海で手作業で行うしかありません。

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こんな場所まで津波は来た

東京に本社のある企業派遣のボランティアの方たちと岩淵さんと一緒に私もその作業をしました。幸い時々小雨が降る、8月にしては涼しい一日でした。最初にクワで表土を5センチくらい掘り、大きめの木の破片を取り除きます。続いて潮干狩りに使うクマデで小さなゴミを取り除きます。根気のいる作業です。

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こんなものが田んぼの土の中から出てくる

「ふゆみずたんぼ」とは、水田に冬の間も水を張る農法で、稲の切り株やワラなどの有機物が水中で分解され、微生物や藻が発生し、それを餌とする様々な生きものが水田に集まってきます。また、冬期におけるこれらの生きものの活動が「トロトロ層」という抑草効果のある層を水田に作り出し、無農薬・無化学肥料栽培に役だっています。大崎市田尻にある蕪栗沼の周辺の水田には「ふゆみずたんぼ」が多いのですが、それは冬の間にやってくる渡り鳥のために始められたものです。

※蕪栗沼とふゆみずたんぼ http://soratsuchi.com/owada/2010/09/post-14.html

岩淵さんは、塩害被害を受けた水田に水を張り、塩分を耕土の下に沈殿させることで、稲に対する塩の害を避けることができると考えました。また、ふゆみずたんぼは微生物がたくさん増えますので、元気な土壌ができ、放射能の害も最小限にとどめることができるのではないでしょうか。

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「子供たちが学べる田んぼにしたい」と言う岩淵さん

小さなガレキを取り除くには人手がかかります。が、一つでも多くの田んぼを復興するために、この冬にどれだけそれができるのか、そしてふゆみずたんぼを増やすことができるのか、サポートしてくれる個人や企業との橋渡しを私もしたいと思います。

農地の復興 その1。復興トマト(宮城県岩沼市)

大震災から半年近くが経ちますが、TV等でも未だにガレキの山や、壊れた堤防の映像が流れているように被災現場はほとんど震災直後のままです。一方、仮設住宅に商店街や、各地での復興支援イベントなど、復興に向けた様々な動きも日に日に大きくなってきていますね。私も震災以来、毎月東北に足を運び、いくつかの活動に参加しています。今回はその中から農地の復興その1「復興トマト」と、その2「ふゆみずたんぼ復興プロジェクト」の2つをご紹介いたします。

塩害の農地で甘いトマトが実った

その一つ。6月4日に津波で塩害被害を受けた農地(岩沼市)にトマトの苗を植え、8月20日に収穫してきました。糖度計で8を超えるものも多く(一般的なトマトは5程度)、本当に甘くて美味しいトマトが実りました。

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真っ赤に実った

今年、仙台周辺の農地は排水設備が壊れ、広い範囲にわたって塩害の被害を受け、稲作も畑作もできない状況です。そして周辺の松林は茶色く枯れ、防波堤も未だ崩れたままです。

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"復興トマト"は、「NPO法人農商工連携サポートセンター」(代表理事 大塚洋一郎さん)と、農業ベンチャーの「マイファーム」(京都府、代表取締役 西辻一真さん)が共同で企画した農地再生プロジェクトの一つです。地元岩沼ロータリークラブおよび東京大学都市持続再生センターとの共催で実施されました。
6月4日には、仙台から電車で10分ほど南下したところにある岩沼市の畑でトマトとネギの苗を植え、オーガニックコットンの種をまきました。親子連れや東京などから49人が、地元のロータリークラブの方など含め、総勢80人位で植えました。

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東京からの参加者は「ガレキの撤去など力仕事はできないけど、何かしたかった。」、「復興のお手伝いができることは本当に嬉しい」と気持ちを語っていました。
熊本の塩トマトが甘くて美味しいと有名ですが、トマトは塩分に強い野菜なのです。

塩分に強いと言っても、今回の農地の塩分濃度は3%程度と高くとても作物が育つ環境ではありません。そこで、マイファームの西辻さんは、海水をかぶった土地に海洋微生物が残っていることに着目しました。微生物が持つ酸素をつくり、塩分を減らす作用を促すため、特別に配合した肥料等を苗の定植の3週間前にまいたところ、3%程度あった畑の塩分が1%以下に下がったのです。
さらに土壌の元気を取り戻すために別の微生物も活用しました。

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「根を切って植えます」と西辻さんの指導で

岩沼市で代々農業を営んでこられた飯塚悦男さん(62歳)、とトマト農家である八巻文彦さん(42歳)の協力を得て、露地とビニールハウスに、地元の方たちとボランティアの人たちが一緒に約600本の苗を植えました。
「田畑はほとんど津波の被害を受けて、今年は何にも植えられません。でも、今日こうしてトマトを植えることができたのは、本当に嬉しいです。何か一つでも実れば、本当に励みになります。」という八巻さんの言葉に心打たれました。

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トマトの苗を植え、綿の種をまいた(6/4)

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無事、実った。収穫を喜ぶ大塚さん(8/20)

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今回も総勢70人近く!(8/20)

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オーガニックコットンも開花


都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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