東日本大震災 救援・復興支援活動の始め方  

気仙沼へ、救援物資を運ぶトラックに同行

東日本大震災から一カ月余り、それぞれが個人として企業として、あるいは所属する団体として様々な支援活動を始めていらっしゃることでしょう。私の回りでも沢山の活動が始まり、続いていますが、そのいくつかを紹介しましょう。

私が共同代表を務める一般社団ロハス・ビジネス・アライアンスの会員企業でもある、物流会社のウインローダーさんでは、J-waveとタイアップした「J-WAVE Heart to Heart つなげる、ココロ」プロジェクトを実施されました。

救援物資をJ-WAVEを通じて呼びかけ、3月17日(木)~31日(木)まで受け付けました。1万人を超える視聴者から続々と救援物資が届き、段ボールの個数は32,196個ほどに。それらを同社の4トントラックに積んで福島県いわき市、会津若松市、相馬市、南相馬市、宮城県仙台市、塩釜市、多賀城市、石巻市、気仙沼市、黒川郡、岩手県宮古市、釜石市、遠野市、陸前高田市、大船渡市など15地域に30便に渡って届けられました。

東村山にある同社のセンターでは救援物資の仕分け作業が行われましたが、そのボランティアに参加された方は一日50人、のべ750人を超えたそうです。活動支援金として期間中396名の方から6,219千円の支援金が集まり、トラックの燃料代のほか、事務局運営費等の諸経費に充てられました。

4月4日、気仙沼に救援物資を運ぶトラックに同行し、現地に行きました。東北自動車道は全線開通していたものの福島県あたりでは道路の凹凸がかなりあり地震の激しさがうかがわれました。そして、サービスエリアの売店には土産物がほとんどありません。特に特産の海産物は皆無に等しい状態でした。
たまたま一軒のサービスエリアの売店にあった気仙沼産の冷凍ホヤ、しばらくは食べられないに違いありません。買いました。ホヤや牡蠣、ホタテの再生を応援したい!としみじみ思いました。

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仙台名産の笹かまぼこも棚から姿を消している

前日の晩11時に東京を出て、途中何回かサービスエリアで休憩・仮眠を取り、翌日11時頃気仙沼に到着。町までは普段と何も変わらない農村風景が続いていました。建物も倒壊しているものはほとんど無く。それが、気仙沼の海岸地域に入った途端、景色は一変するのです。TVで毎日のように放映されている、町が津波に飲み込まれ、がれきが延々と散乱している景色が広がっていました。

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4トントラック一杯の救援物資は地元のボランティアグループの案内で高台にある公民館に届けられました。赤ちゃん用や高齢者用の紙おむつ、缶詰、洗剤、歯ブラシ、靴などをトラックから降ろす手伝いを地元の方と一緒に行いました。物資はかなり足りてきているようで、秋田県から毎日配送される塩むすびと沢庵、サバの缶詰をいただくほどでした。

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地元の方と、東京からのメンバーで荷降ろしリレー

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秋田の米も美味しい

気仙沼市の人口は約74000人、7割が水産業のまちです。一か月が経った今でもライフラインのうち水道が50%、電気が60%の回復状況です。しかし、6月中には魚市場の再開を目指して関係者の皆様が奮闘されています。

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大型船48隻が座礁

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また、気仙沼と言えば『森は海の恋人』著者の畠山さんの活動拠点です。畠山重篤さんも被災され、牡蠣の養殖筏も流されてしまったそうです。しかし、これまで積み重ねてこられた活動で知り合った全国の方々を中心に支援の輪が広がっています。こうした時こそ、日頃の顔と顔の見える信頼関係が強さを発揮することはありません。 


帰り道には、名取市に寄りました。津波の被害を受けた仙台空港の近くです。ここは広い範囲で田んぼや畑が津波の被害を受け、田畑が塩をかぶり、大小さまざまな漂流物が田畑に散在している状態です。塩害と漂流物を取り除かないと農業を再開することはできません。

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宮城県内で4割1,500haの水田が被害を受けた


震災から1か月余り。救援から復興支援へ

震災から一カ月余り、避難所には食糧など救援物資はほぼいきわたり、医療面でも臨時の診療所が解説され、また仮設住宅の建設も急ピッチで進んでいます。しかし、内陸部でも被害を受けている地域も少なくなく、また原発事故による農産物への風評被害や被災された地域の人への差別的な行動、放射能汚染で田植えや野菜の作付ができない農地など、新たな問題も浮上してきています。

そんな中、4月5日、東京で「ニッポン農力向上&震災復興大作戦!緊急フォーラム」が開かれました。基調講演は埼玉県小川町で「霜里農場」を営む金子美登(よしのり)さん。
続く意見表明の部で私は、3つの提案をしました。金子さんのお話しに続く意見表明のトップバッターでしたので、まずはこれからのサステナブルな社会の実現に向けて金子さんが下里集落で進めてきた有機農業をベースに、地域の事業者や企業と提携して進めてきた地域づくりを「下里モデル」と命名し、全国に広げていくことや、都市と農山村の交流による東北の農林漁業の復興支援を提案しました。

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意見表明の部ではコモンズという出版社の編集長で『地域の力』(岩波新書)の著者でもある大江正章さんは、"すぐにやるべきこと"として、
 ①食べて(買って)支える
  ・地震・津波の被害が大きい地域の加工品を意識して買う・食べる
  ・風評被害にあった地域の農産物を安全性に配慮しつつ、特に50代以上は買う・食べる
 ②安全性だけにこだわる人に、農業が存続することの意義を真剣に伝える
 
"なるべく早く行いたいこと"として
 ①各人の専門や得意を生かしてチャリティーを行う
  原発問題を中心に「暮らし方を考えるブックフェア」の開催を模索中。
 ②土壌の放射能汚染を調べる検査機関のリストを協力してつくる
 ③少なくとも浜岡原発とプルサーマル型原発を即時停止させる
 ④今年の作付けができない被災地域のために増産する。その際、減反を緩和させる。

そして、"中期的に行うべきこと"として
 ①福島原発周辺地域で営農が継続できない農家の受け入れを進める
 ②地産地消・自産自消・国民皆農の意義をよりアピールし、実践する
 ③化石燃料になるべく依存しない有機農業と脱成長の道を描き出す
を提案されました。

すぐにできること、消費者として福島や茨城県の農産物を食べて買い支えること。日頃あまり意識しませんが、両県からの農産物に私たちの食はずいぶんとお世話になっています。両県の農業を支えることは自分達の食、ひいては命を支えることでもあります。


農地・漁場再生、一次産業の復興に何ができるか

近著『アグリ・コミュニティビジネス』でも紹介した株式会社マイファームからも、「send ai 届けプロジェクト」と題して支援活動を始めたとお聞きしましした。
①同社が運営する農園等の区画で、利用者と共同で保存のきく作物を育て、スタッフや利用者の親族やお知り合いで被災された方々にお届けする
②塩害で使えなくなった農地の再生に取り組む
③東北地方の農家様のために、耕作放棄地+民家のセットを移住先として提案する

取り組みコンセプトは上記の3つですが、さっそく社長の西辻一真(かずま)さんは宮城県に入り、農地の状態や農家の方、地域のNPOなどと会い、その可能性を調査してきました。田畑の漂流物を取り除くボランティアツアーを5月に計画するとも聞いていますが、引き続きその活動に注目していきたいと思います。

私もLBAのメンバーの皆様を中心に、民間ベースで顔の見える関係から雇用創出や事業再生に貢献すること、社会全体を食とエネルギー・福祉の分散・地域内自給圏の確立するような活動に取り組んでいきたいと考えています。まずは5月13日に復興支援を考えるフォーラムを開催することにしました。

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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

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