- 2010年11月のアーカイブ

埼玉県小川町下里地区、農林水産祭むらづくり部門で「天皇杯」受賞


◆ 有機農業を通じた美しく豊かな里づくり

有機農業者の金子美登(かねこよしのり)さんが有機農業を始めて今年で40年。金子さんの「霜里農場」のある下里(しもざと)地区の「下里農地・水・環境保全向上対策委員会」(代表、安藤郁夫さん)が、今年、農林水産祭のむらづくり部門で「天皇杯」を受賞されました。おめでとうございます。11月23日に、その表彰式が明治神宮会館で行われます。

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受賞理由として下里集落の「有機農業を通じた美しく豊かな里づくり」は、「地元で昔から栽培されていた在来大豆の有機農法による集団栽培を平成13年から始めました。その後、有機栽培は小麦や水稲にも広がり、近隣の豆腐店、酒造会社、製粉製麺業者、醤油製造会社、パン屋や消費者などにも支えられ、全量を完売するに至っています。
このような取組は、これまで"点"としての活動にすぎなかった有機農業を、地域ぐるみの取り組みとすることにより、"面"的な広がりへと展開するものです。
また、生産者のみならず、地域が一体となって取り組む共同活動や都市住民、企業との交流、さらには自然環境の保全など『美しくて豊かな里』づくりに向けた活動へと広がりを見せています。」と評されています。

昨年から何回となく下里を訪問する機会がありましたが、確かに四季折々美しい農村景観が広がっています。

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春先は麦畑の緑も美しい

下里では、金子さんより16歳年上で、地区のリーダー的存在である安藤郁夫さんが、今から10年前に「金子さんのやっている有機農業を自分もやってみたい」と申し出たことから、地区が有機に転換していきました。安藤さんは30年間、金子さんの有機農業を見てきたのです。そして、30年経って初めて、自分も有機農業をやってみたいとおっしゃったのです。

最初は大豆、そして小麦、水稲と有機農業への転換が図られて行きました。お米を最初に全量買い上げたのは銀座にある自然食レストランでした。正確には銀座にあった、と言うべきでしょう。このレストラン、2008年秋のリーマンショックの影響で閉店を余儀なくされ、買い上げられるはずだった1.8トンのお米が宙に浮いてしまったのです。


◆ 地元のリフォーム会社がお米を全量買い上げ

さあどうしたものかと、頭を悩ませていた金子さんでした。そんな頃、2009年1月に、私はリフォーム会社「OKUTA(オクタ)」の社長、山本拓己(やまもとたくみ)さんを誘って、霜里農場見学会にでかけたのでした。見学会終了後、金子さんと懇談していて、金子さんはお米の行き場が無くなって困っていることを話されました。その時、なんと山本さんが、「そのお米全量わが社で買い取りましょう」と申し出たのです。

リフォーム会社がなぜお米を?
「社員に安全で美味しいお米を提供するのも社長の仕事だ」というのです。しかも地元の企業として地域の有機農業を応援したいというのです。そして、2009年3月~「こめまめプロジェクト」と名付けられた下里地区のお米の全量買い支えが始まりました。これを"企業によるCSA"と私は呼んでいます。CSAとはコミュニティによる地域農業の支援です。地元農家のとりまとめや、お米の出荷に関する精米、袋詰めなどこまごました業務は、霜里農場見学会をコーディネートしている地元のNPO法人「生活工房つばさ・游」の高橋優子さんが奔走してくださいました。

お米は1kg400円と"農家が元気の出る"価格で買い取りますから、2軒残っていた地域の慣行農家も、ついに2009年の作付から有機農業に転換をしたのでした。これで、金子さんが40年前に始めた有機農業が、下里地区の田畑20haへと広がったのです。

OKUTAでは、その後、社員とその家族、取引先や顧客などステークホルダーの皆さんと霜里農場&小川町有機農業バスツアーを行ったり、下里地区の森林の整備などにも関わり、活動を深めています。

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稲刈り。左が山本さん、右が金子さん


天皇杯の受賞理由には「有機農業の実践により、地域に活気が生まれたことは、我が国農業・農村がおかれた困難を打開する可能性を秘めた事例である。」とも書かれています。他の地域にもぜひ広がっていってほしいものです。


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「農民が元気になると村は美しくなる」と金子さん


◆ コミュニティトレードで有機小麦パン

私が井手敏和さんと2007年に立ちあげたLBA(ロハス・ビジネス・アライアンス)には、「OKUTA」、ハーブ・アロマテラピーの「生活の木」、オーガニックコットンの「アバンティ」など、グリーンやロハスなライフスタイルを推進する事業を行っている会社が集っています。OKUTAの山本さんと、生活の木の重永忠さん、井手さんらは「エクスキューズ」という社会貢献バンドを組んでチャリティライブを行うなどもされています。

来年1月出版予定の『アグリ・コミュニティビジネス』の取材で、今年8月、久々に飯能にある「生活の木」の「薬香草園」というハーブ園にでかけました。1996年、住宅・都市整備公団(独立行政法人都市再生機構)が開発を手がけた5,000戸のニュータウン内に作られたものです。敷地面積12000平米、ガーデン面積6500平米という規模で、ハーブガーデンのあるニュータウンということで、人気を呼びました。

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そのハーブ園には、ショップや教室、レストラン、ベーカリー、アーユルヴェーダサロンもあります。責任者の井上さんとランチをしながらお話しを色々うかがっていて、パンの小麦を有機に変えたいという考えをお聞きしたのです。それならば、「近くの小川町に有機農業で作った小麦がありますよ」と、9月には現地にご案内し、NPO「つばさ・游」の高橋さんにお願いし、さっそく小麦を手配していただきました。11月中旬から「薬香草園」のベーカリーには小川町下里産・有機農業小麦のパンが登場しています。そして、来年6月に収穫される約1.5トン分が「生活の木」用として11月に種が播かれました。

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色々なタイプを試作中

昨日(11月22日)、天皇杯授賞式のリハーサルで明治神宮にいらっしゃっていた金子さん、安藤さんらを、近くに本店・本社のある「生活の木」にご案内しました。30年かけてコツコツとハーブ・アロマテラピーを広め、定着させてきた重永さんと、40年かけてコツコツと有機農業に取り組み、広めてきた金子さん、その精神は同じです。

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後列:左から二番目が金子さん、中央が安藤さん。右端が重永さん

「生活の木」では、ガーナのシアバターを使った石鹸づくりや、アマゾンでのローズウッドの植林など、"コミュニティトレード"に取り組んでいます。それは、地域の資源を活用し、地域に仕事や商品を生みだす、取引を通じた豊かなコミュニティづくりです。今回の下里地区の有機農業による小麦を使ったパンもコミュニティトレードの一つと言えるでしょう。

※霜里農場について http://soratsuchi.com/owada/2009/12/39.html

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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