- 2009年4月のアーカイブ

「なるべく、国産の有機野菜食べるようにしていますか?」(「イー・ウーマン」働く人の円卓会議から)

今月13日~17日までの5日間、佐々木かをりさんが主宰されている「イー・ウーマン」というWEBサイトのメインコンテンツ「働く人の円卓会議」ソサイエティ部門で議長を務めました。面白い仕組みで、また今回のテーマには多くの意見が寄せられましたので、その概要をご紹介しましょう。

円卓会議には6つの部門があって、毎週6人の議長が発題し、その質問にYes、Noを投じると共に意見を投稿するという仕組みです。投票数と意見の投稿数で順位も出るので、やはり皆さんの関心の高いテーマを選ぶと共に質問力や、議論の展開力が求められます。投稿される意見も質が高く、アイディアも豊富で、大変参考になります。

また、期間中は毎日夕方6時に投稿されたものから選ばれた10の意見が編集部から送られてきて、それらを織り込みながら翌朝9時までに原稿を編集部に送るというものです。私も今回が三回目でしたが、ようやくコツがつかめてきた感じですが、その一週間はますます早起きになって、日の出と共に(笑)原稿をまとめています。また、ソサイエティ部門はボランティアとか、環境問題など社会的活動をテーマにするので、比較的地味で、順位は4~6位が多いように思います。ちなみに他の部門には、キャリア、時事、マネーなどがあります。

今回の私が取り上げたテーマは「なるべく国産の有機野菜を食べていますか?」でした。昨年から有機農業普及啓発会議の委員を務めることになり、私自身このテーマに大いに関心を寄せ、各地の有機農家を訪ね歩いているところです。

※ゆうきひろがるキャンペーン http://www.yuki-hirogaru.net/index.html

このテーマへの読者の皆さんの関心は高く、初日から1位でスタートし、三日目で3位になりましたが、最終日には再び1位になりまいた。Yes371票(71%)、No165票(29%)、合計で536人の方がご参加くださったことになります。ソサイエティ部門でも、テーマの切り方と、展開の仕方では皆さんの関心や意見を大いに引き出すことができる!と実感した一週間でした。


このテーマを議論したいと思った私の問題意識(初日の掲載文から)

「昨年は、世界的な食料不足や、国内でも汚染米問題や餃子事件などがあり、私もすっかり国産の、できれば生産者の顔の見える安心で美味しい農産物を食べたいとますます思うようになりました。また、秋以降の経済恐慌で、これからは農業だ、とか、半農半Xの暮らし方をしたいという人も増えて、今年に入って経済誌からライフスタイル誌まで農業や、野菜作り、農的暮らしの特集が目につくようになりましたね。

スーパーに行くと、地元の野菜コーナーとか、有機農産物のコーナーなどをよくみかけるようになりましたし、各地の直売所も地元の新鮮野菜を求める人で賑わっています。私は、国産や地元産の中でも、できる限り有機や無農薬・無化学肥料で栽培された野菜やお米を選ぶようにしています。でも、驚いたことに、この有機農産物、日本では生産量の1%にも満たないそうですよ。しかも、ようやく2006年12月に「有機農業の推進に関する法律」が可決し、昨年から普及啓発や各地でのモデル事業が始まったところだと聞きました。

食べる人、作る人、そして生きものや土壌の健康にも良い"有機農産物"ですが、あなたはなるべく国産の有機(無農薬・無化学肥料)野菜を食べるようにしていますか?そして、その理由もお聞かせいただけますか。」

この投げかけに対し、「YES」の方からは、「健康のために」「生産者のために」「未来のために」というご意見が多数寄せられました。また、「NO」の方からは「値段が高い」、「有機ってなに?」というご意見も。


有機農産物を増やす方法

そして、三日目には「どうすれば、有機農産物をもっと増やすことができますか?」と投げかけたところ、多くのアイディアをいただきました。ご意見に対する私のコメントは以下のようなものでした。

・「生協が良い」
最近は有機農産物を中心に扱う通販型の生協も各地にあるので、お住いの地域でも探してみて下さい。

・「一般のスーパーで、もう少し価格を抑えた有機野菜が購入できるようになるとよい。」、「流通の中間搾取をしない、農家にきちんと収益が渡り、消費者に適正価格で販売される市場を作ること」
確かに有機だから高く売れるとか、高く売っているという小売店などもあると私も思います。促進するには小売業者が利益を減らしてでも他の野菜と同等の価格にしますというようなスーパーがあったら応援したいですね。

・「農家に対する助成金を引き上げる」
EU諸国では有機農家に助成金が出ています。日本でもいずれそうなる日が来ると思っています。

・「小学校などで野菜作りの強化拡大をする」
環境教育の観点も重要です。愛媛県の今治市では地域を挙げて有機農産物の促進に取り組んでいますが、学校給食にも地元の有機野菜を活用していると聞いています。また、昨年から全国で小学校5年生を対象とした農村体験も始まっています。

・「有機野菜を自給する」
"国産の有機農産物を食べる"ということは、必ずしも農家や小売店、宅配会社から購入するに限りません。自分で作るのという方法がありますね。庭先、ベランダ、あるいは農園を借りてなど。

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私が借りている2坪畑でもこんな野菜ができます


食糧自給率を何とかしたいし、豊かな自然を残したいから(最終日のまとめから)

「私が有機農業に関心を持っている理由は二つあります。一つは、有機農業推進法にもうたわれている生物多様性です。その農法が多様な生物の棲息につながり、豊かな自然や、里山のある景観が維持されることにつながるからです。有機の里づくりに取組みコウノトリやトキを再び自然に蘇られせた話や、蛍が飛び交う田んぼの水は甘いとか・・・

そして、もう一つは、"提携"といわれている生産者と消費者の関係性にあります。二日目にご紹介した埼玉県小川町で有機農業を38年行っている「霜里農場」の金子さんのところは、約40世帯の消費者と"提携"し、お米や野菜、卵を届けつづけています。親戚づきあい以上の関係だといいます。

この"提携"という1970年代に生まれた日本発の消費者が生産者を支える仕組みは、世界40カ国に広がり、現在アメリカではCSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)という呼称で知られるようになり、最近逆輸入されて雑誌などで時々みかけるようになりました。

    ―中略―

そして何より、今後のことを考えると、やはり国産です。日本の食糧自給率の低さは、気になっていると思いますが40%です。60%を輸入に頼っているわけです。先進国の中でも最も低く、昨年のように石油価格が上がり、トウモロコシはエタノールに使われ、さらに気候変動が進んで極端な気候が増えることで農産物の生産が打撃を受けアメリカから輸入できなくなったら、また人口増加で中国から農産物が輸入できなくなったら・・・。これが私の危機意識です。日本のフード・セキュリティ(食糧安全保障)です。なので、国産の、できれば地元産で、(かつ有機が好ましい)のものをもっと増やす、その為には消費者が意識を持って、そういうものを買うようにすることが鍵だと思うのです。」

※最終日 http://www.ewoman.co.jp/report_db/id/2702/dow/5/

ちなみに昨年は11月に「二地域居住したいですか?」をテーマにしました。この時は、Yes274票(51%)、 No266票(49%)ということで、二地域居住したい人と、したくない人がほぼ半々でした。その際には、二地域居住の入り口になる都市農山村交流活動として「NPOえがおつなげて」の取組みもご紹介しました。

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えがおファームの青大豆畑

牛の糞や生ゴミなどを活用したバイオマス発電(小岩井農場レポート②)

さて、小岩井農場では、敷地内に牛の糞など家畜排泄物や、地域の学校給食から出るゴミなど食物残渣を原料にしたバイオマス発電施設「バイオマスパワーしずくいし」を作り、2006年4月から稼働させています。一日約250キロワットの電力を生み出すことが可能です。また、ここでは堆肥も作っています。

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農場には牛が約2,100頭、鶏約6万羽もいますので、これらの家畜系糞尿の量は一日約59トンにもなるそうです。また、雫石町内の給食や食品会社からの食品系残渣が一日26トン。これらがバイオマスパワーしずくいしに運びこまれます。まずそれを液状化し、メタン発酵設備に投入します。80℃程度で暖められ発酵により発生したメタンガスは、白い丸い球状のガスホルダーに貯められます。メタンガスは、ガスエンジン発電機に投入され発電が行われます。発電量は約4,000kWh/日です。電力以外にも液体肥料(約35トン/日)や堆肥(約15トン/日)ができます。このうち、電力の半数2,000lWh/日と、液体肥料、堆肥は小岩井農場が購入して活用しています。つまり、循環のしくみができあがっているわけです。


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堆肥のヤード

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メタンガスが貯蔵されるタンク

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この送電線で電気が農場に送られる

約半分の電力2,000kWh/日はバイオマスパワーしずくいしの施設内で使用される他、「日本自然エネルギー」が「グリーン電力証書」化し、企業や自治体等にグリーン電力証書として発行しています。ちなみにグリーン電力証書はその自然エネルギー源を指名買いもできるそうですよ。小岩井農場関連のバイオマス電力でお願いしますと。

ちなみに、バイオマス(生物資源)とは、再生可能な、生物由来の有機性資源です。それから作られたバイオマスは有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出されますが、これに含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来することから、バイオマスを使用しても全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされています。カーボンニュートラルなエネルギーと言われるゆえんです。

このプラントを見て、今年1月に訪問した小川町の霜里農場のバイオマス・ガス設備を思い出しました。こちらは一軒の農家ですが、3haの敷地内に牛3頭、鶏数十羽を飼い、有機野菜を作っていて、自宅のエネルギーはバイオガスと、太陽光、薪ボイラーなどで7割程度自給しているとお話をうかがいました。液肥ももちろん活用しているそうで、敷地内で作る堆肥などと合わせ、石油に依存しない(外部から肥料や農薬も購入しないで済む)のでコスト的にも楽だとおっしゃっていたことが印象的でした。 

一軒の農家で、あるいは小岩井農場のような地域単位でのバイオマス発電や循環型酪農業が各地にできると、分散型エネルギー源としての可能性が大いにあるのでは・・・と思いました。

※小岩井農場 バイオマスパワーしずくいし
http://www.koiwai.co.jp/guide/rakuno_2.html

※霜里農場 http://www.shimosato-farm.com/

都市と農山村をつなぐ 空と土プロジェクト
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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

LOHAS & Sustainable Style

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