新・上流社会から招待状が届きました

 
オーガニック農産物で世の中を変えたい

はじめまして。LBA(ロハス・ビジネス・アライアンス)の共同代表を務めている大和田順子と申します。今日からこのコーナーを担当いたしますので、まずは自己紹介をさせていただきます。

私がLOHAS(ロハス)という言葉に出会ったのは今から7年前の2002年のこと。"健康と環境に配慮したライフスタイル"という、人の健康とサステナビリティ(地球の持続可能性)をむすびつける考え方が新鮮だと思いました。そして、どんな人たちがその言葉をつくり、広めているのか、興味がわき、アメリカで年に1回開かれている「LOHAS会議」に参加することにしました。それは、全米から400人を超える、20代~60代の社会起業家が集まっている、熱気あふれる会議でした。20代~60代とおぼしき人々で、女性の姿も少なくありません。

主催者にインタビューしてみると、そもそもロハスという言葉をつくった人たちはかつて"ヒッピー"だったというのです。(後日知ったことですが、全米最大、年商6,000億円を超すオーガニック&グルメスーパーの「ホールフーズマーケット」の創業者、ジョン・マッケイも、元ヒッピーだそうですよ。)世の中を良くするためには、オーガニック農産物を広めることだと信じ、その活動を地道に続けてきた彼らも90年代後半には50代を迎えていました。そしてアメリカのビジネス界が得意のマーケティングや、投資といった手法を活用し、オーガニックを食品だけでなく、化粧品や洋服などライフスタイル関連の事業とむすびつけ広めることにしたのです。

地域のオーガニック農産物を食べることは身体の健康に良く、作っている農家の人の健康にも良く、土壌の健康、地域経済の健康、そしてフードマイレージの観点からCO2の排出量が少なく、地球の健康にも役立つというのです。これがヘルスとサステナビリティがむすびついた理由です。

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地域社会もLOHASで元気になる

このロハス会議があまりに興味深かったので、2002年9月にこの会議の様子を私は日経新聞等で紹介しました。これが後日、日本で初めてロハスを紹介した記事と言われるようになったのです。そして、ロハスの考え方を日本に当てはめてみると、同じような考え方でビジネスや地域で活動している人々に出会い、その様子を『日本をロハスに変える30の方法』(2006年、講談社)や『ロハスビジネス』(2009年、朝日新書)という本にまとめ、出版したのです。

その後、私は講演などで全国の農山村や地方を回る機会が増えていきました。また、野菜づくりを自分でも始めたり、農家や農業との接点が増えていきました。それにつれて、LOHASのH、健康は、人の健康と地球の健康だけでなく、"地域社会の健康"が重要だと考えるようになったのです。ロハスをヒントにライフスタイルを変える、ワークスタイルやビジネススタイルを変える。そして次は地域を元気にする、というように視点が広がっていったのです。

日本の現状はどうでしょう。長時間労働でワークライフバランスの崩れている人が多く、心の病にかかる人も少なくありません。食糧自給率(40%)や木材自給率(約20%)の低さも大きな問題です。農業に従事する人は高齢化し、多くの農地が耕作を放棄され、森林も荒れ、村は過疎化しています。そして、世界的な問題では、気候変動や温暖化対策が大きな課題になっていますし、経済・金融危機まで起き、2008年は色々な意味で時代の転換期となりました。

では、どうしたら、地域を元気にすることができるのでしょう。どうしたら、物ばかりではなく心の豊かさや、コミュニティ重視で、地産地消といった価値観を大切する社会を創ることができるのでしょうか・・・

日本の地方、田舎には美味しい食材や料理、温泉、様々な生活の知恵、自然が残っています。むしろ、遊休耕作地も、間伐されていない森林も"資源"だ、と私は思うようになりました。


各地の"新・上流社会"から届いた招待状

日本の各地で"農的"な要素を暮らしや仕事に取り入れ、地域の資源を生かし、人が集い、コミュニティを再生している人たちにも出会いました。世界遺産に登録された島根県大田市大森町、人口430人の小さな町で"根のある暮らし"を提唱する「群言堂」の松場登美さん。あるいは、山梨県北杜市増富地区という限界集落で都市住民と農山村の交流により、遊休耕作地3haを再生させた「NPOえがおつなげて」の曽根原久司さんなどです。「空と土プロジェクト」のフィールド増富が、彼の活動拠点です。無農薬での農産物の栽培や、都市農山村交流活動、小水力発電など"サステナブルな小さな村づくり"の実験・チャレンジが進んでいます。

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※NPOえがおつなげて http://www.npo-egao.net/index.html

※石見銀山生活文化研究所 http://www.gungendo.co.jp/

この方たちの暮らしはとっても素敵です。憧れです。無農薬で自給自足用の野菜や米を作ったり、毎日森や山々を眺め、自然の移ろいを楽しみつつ、美味しい空気・水の元で暮らしている。そして、そこで仕事や心温かい地域社会を創っている。豊かな地域をベースとした新しい社会を創り始めているとも言えるかもしれません。彼らが暮らしている森林や山間の農山村など、川の上流や源流域にある自然資源や農山村資源を活用した、豊かで幸せな暮らしやコミュニティのことを、私は"新・上流社会"と、そして、それをつくり出している人たちを、"種を蒔く人々"と呼ぶことにしました。

都会で暮らしている人の中にも、こうした農山村と交流したい、できれば田舎と都会に二地域居住したい、いずれは田舎暮らしをしたいという人が増えてきていますね。このブログでは、各地域で活動しているそうした"新・上流社会"に種を蒔いている人々を訪ね、これからの心豊かで幸せで持続可能な暮らし方や仕事、ビジネスやまちのあり方について、ご一緒に考えてみたいと思っています。 (2009年3月1日)


 

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プロフィール

大和田順子さん

LOHASビジネスプロデューサー/
LBA(ロハスビジネスアライアンス)共同代表/
NPO環境立国 理事

東急百貨店、東急総合研究所、ザ・ボディショップ、イースクエア等を経て2006年4月に独立。
低炭素で持続可能な社会の実現に向け、人・地域・地球の健康を指向する新しい価値観LOHAS(ロハス)の考えに基づき、講演・研修や執筆、コンサルティング、NPO活動を通じて、ライフスタイル・ビジネス・社会の変革に情熱を注いでいます。

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